ストイックになりたくない

滝行
今回の記事はお金と関係ありません。
以前からちょっと思ってたことなのですが、ツイッターだと文字数制限があるし、ケーキブログにはちょっと場違いな話なので、ここにまとめて書くことにしました。


「この世界の片隅に」、大ヒットしていますね。
自分は、この作品についてはクラウドファンディングの時点から、寄付はしなかったものの気になっていましたし、主演の声優がのんさんということで、これはきっといい作品になるに違いない、と思って、前売り券発売開始当日に前売り券購入して、初日に鑑賞しました。
でも、公開前は、よもやここまで大きな社会現象になるとは露ほども思ってなくて。
扱う題材も地味だし、監督の経歴も華々しいものではないし、なによりのんさんが主役ということでテレビでの宣伝はほぼ絶望的。
そんな、ヒットする要素が全然ない、どんなによく出来ていても、せいぜい多少話題になる程度だろう、と思っていました。
正直、ほぼ同時期に公開される劇場版きんモザとどっこいどっこいではないかと。


それが、蓋を開けてみたらこの状況。
もう、ビックリですよ。

かくいう自分は、初日に見て、自分のフェイバリットの作品ではないけれど、素晴らしい作品だとは思いました。
少し間あけて2回目も見ましたし。池袋で「きんモザ」と両方連続して見ました。
2回見て、1度目ではわからなかった部分もだいぶ理解できたし、1回目のテアトル新宿の狭い空間では感じ取れなかった爆撃の音とか、池袋の大きなスクリーンでは怖いぐらいに伝わってきたり。エンドロールに描かれるもう1つの物語もじっくり見られたし。

でも、ここまで大ヒットするというのは、自分はSNS、特にツイッターのパワーをなめていた。
2016年に大ヒットした映画、君の名は。もシン・ゴジラも、この世界の片隅にも、ツイッターがなければここまでの大きなヒットにはならなかった。
その意味では、映画に限らず、2016年はエンターテイメントのあり方自体が大きく変わった節目の年になった、と言っていいと思う。テレビ的には「真田丸」とか「逃げ恥」もそうですよね。

そんな「この世界の片隅に」について、雑誌「映画芸術」を主宰しているなんとかさんという人が否定的なコメントをしたということで。ツイッターで話題になってた。
なんでも、「未だに戦時中の日本人=被害者というテンプレから抜け出せていない」とかなんとか。
これを読んで思ったのは、お前はあの映画のどこを見ていたのだと。
ふだん滅多に感情を表に表さないすずさんが玉音放送を聞いて慟哭しながら、なんて言ったのか、ちゃんと聞いていたのかと。
おそらく、なんとかさんは、映画がアニメということでハナから作品にきちんと向き合っていなかったのではないかと思う。
もしかしたら寝てたのかも。

で、ですよ。
そんなことがあった後、肝心の「映画芸術」の恒例の映画ベスト&ワースト10で「この世界の片隅に」がベスト1になって、なんとかさんギャフンとなったという、実に心温まる話がオチについてきて。ざまみろ。

そんなことがあったり、また、3月に発売になる「シン・ゴジラ」のアマゾンでのレビューを読んでたら、ここでも特撮ファンと思しきユーザーが☆1つで酷評していたりして。

で、思ったのですが、というか、以前から思っていたのですが、
「マニアック」というのはちょっと聞こえが悪いから、代わりによく使われる単語、「ストイック」という言葉。
日本では「求道的」ということで美徳とされていますが、
ちっともいいことではないですよ。全然よくない。
ストイックであるということは、多くの場合、日本語に訳せば「了見が狭い」ということになるのではないかと。完全な同義語ではないにしても、自分はほぼ同じだと思っています。
ストイックであることが美徳だと思っているから、特に男性に多いような気がするのですが、自称「マニア」が了見の狭い言説を垂れ流す。

でも、自分はそうなりたくないし、そういう人とつるむのも嫌だ。
アニメをバカにする「映画ファン」も、シン・ゴジラの良さがわからない「特撮ファン」も、どっちも嫌だ。
これは、他のどの分野でも同じで、ジャズファンクをバカにする「ジャズマニア」も嫌だし、デジタルを否定してアナログを信奉する人も嫌いだし、ファーストフードを否定する「グルメ」も付き合いたくない。渋谷直角さんの漫画で基本ダウンタウンしか認めないお笑いマニアが出てきましたが、あれも典型的。

あるジャンルのマニアが、自分の好きなものを徹底的に愛するのはいいけれど、それが高じると自分の好きではないものを「劣ったもの」として排除する、そういう「了見の狭い」人間になってしまいがち。
そして、それをストイックだと思って、むしろ自らそういう態度を肯定してよりこじらせていく。
そして、最後には、自分の好きではないものを楽しむ人達に向かって、「お前たちは何もわかってない」とバカにするんですよ。
映画芸術のなんとかさんも、映画の観客が馬鹿だからって書いてたですしね。
そうなったら、もう終わり。永久に自分の殻に閉じこもっているしかない。
そして、呪詛の言葉を呟き続ける。かわいそうに。

自分の好きなものなんて、世の中に数え切れないほどある素晴らしいもののほんの一部でしかない。
それなのに、自分の好みではないもの、自分の知らないものを、つまらないものとしてレッテル貼りをする。
そんな人間にはなりたくないし、そんな人と仲良くなるのも嫌。
ストイックな人間なんて大嫌いです。

好きなのは、もっと曖昧で、ゆるくて、移り気で、でも美意識は忘れない。
そして、世の中にあふれる美しいもの、楽しいもの、美味しいものに対して貪欲で。
新しい概念も躊躇なく取り入れていく。
そんな人になりたいなーと思う。
そういう素敵な人、わりと女性に多い気がするんですよねー。おっさんはダメだ。自分の価値観にしがみついているばっかりで。
自分は、魅力的な人間になりたい。好きなものを追い続けるのをやめることはできないけど、だからって、それ以外を排斥することはしたくないし。

どうしても年齢を重ねると、自分の価値観が固定化しがちだけど、出来る限りストイックではないようにしたい。
ストイックになりたくない。
そして、モノを作る人の努力に敬意を払うことを忘れないようにしたい。

ちなに、ケーキの世界でのそういったストイシズムって、なんだろ?と考えてみたのですが、ケーキの世界は意外と柔軟というか、そこまで特定の考え方に凝り固まった人は少ないかなー。
でも、中には、自分の好きなお店だけが特別で、それ以外の、自分の舌には合わなかった店を誹謗中傷する人がいることはいる。
それとか、食べログに延々自信満々の自説を書いて悦に入ってる人もいるよねー。
自分の好きな部分を書くのならいいんだけど、いかに自分が美味しく感じられなかったかを延々書いたりする人が少なくない。
そういう人にはなりたくないなーと、自戒しています。

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年収200万円。でもステキな生活を楽しもうと考えている紳士。音楽と甘味がこの上なく好きです。

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